戸籍謄本の使い回しと原本還付の実務上の注意点
相続手続において提出を求められる戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む)は、原則として使い回しが可能です。
例えば、
- 金融機関での相続手続
- 不動産の相続登記(法務局)
いずれの場合も、提出された戸籍謄本はコピーを取ったうえで原本が返却されるのが通常です。
また、法務局への登記申請では、「原本還付請求」を行うことで、戸籍謄本の返却を受けることができます。
■ 原本還付に関する実務上の注意点
戸籍謄本が複数枚にわたる場合、通常はホッチキスで綴じられた状態で交付されます。
この「綴じられた状態」そのものが戸籍謄本の原本である点に注意が必要です。
ところが実務上、
- 銀行職員がホッチキスを外してコピーする
- ホッチキスを外さないまま自動コピー機に通し、破損してしまう
といったトラブルが少なからず見受けられます。
法務局では、
ホッチキス留めされた状態が原本であることを前提として取り扱われるため、
- 一度外されたもの
- 再度留め直されたもの
が、必ずしも「原本」として認められるとは限りません。
また、戸籍の記載部分が破損・欠損した場合には、
再取得を求められる可能性が高くなります。
■ コピー時の実務的な対策
このようなトラブルを防ぐため、
- ご自身でコピーを取る場合
- 金融機関等にコピーを依頼する場合
いずれであっても、**「ホッチキスは外さないでください」**と明確に伝えることが重要です。
特に金融機関では、日常業務の流れで処理されることが多いため、
事前の一言がトラブル防止につながります。
■ 戸籍謄本の「有効期限」について
相続手続に関して、
「戸籍謄本には有効期限があるのか?」
という質問を受けることがあります。
この点については、
- 現在戸籍以外の戸籍(除籍・改製原戸籍)には、有効期限はありません。
過去の身分関係は将来にわたって変わることがないため、
何年も前に取得したものであっても、原則として使用可能です。
ただし、金融機関や法務局によっては、
- 最新の電算化後戸籍
- 一定期間内に取得した戸籍
を求められるケースもあります。
その場合には、
- なぜ新しい戸籍が必要なのか
- どの範囲の戸籍が必要なのか
を確認したうえで、柔軟に対応することが実務上望ましいと言えます。
■ 専門家による戸籍収集サポートについて
相続手続に必要な戸籍の収集は、
- 枚数が多い
- 手書きで判読しづらい
- 市町村合併により請求先が複雑
など、想像以上に手間がかかることがあります。
当事務所では、
- 相続関係説明図の作成
- 相続人確定のための戸籍一式の収集
について、職務上請求により対応することが可能です。
戸籍の取得や整理に不安がある場合には、
専門家のサポートを活用することも一つの有効な選択肢です。
■ まとめ
- 戸籍謄本は原則として使い回しが可能
- 原本還付制度を正しく利用することが重要
- ホッチキスは外さないことが鉄則
- 戸籍に有効期限は原則として存在しない
- 戸籍収集は専門家に依頼することで負担軽減が可能
相続手続の円滑化のためにも、
戸籍の取扱いには十分な注意を払うようにしましょう。
