養子・実子・婚外子(非嫡出子)の相続分について
① 養子と実子の相続分に差はあるか
養子と実子との間で、相続分に差はありません。
民法上、養子は縁組の日から養親の嫡出子としての身分を取得します。
民法第809条
養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。
この規定により、養子は実子(嫡出子)と同一の相続分を有することになります。
この点は、普通養子であっても、特別養子であっても同様です。
② 普通養子と特別養子の違い(相続関係)
ただし、普通養子と特別養子では、実父母との相続関係に違いがあります。
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普通養子
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養親との親子関係が生じる
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同時に、実父母との親子関係も存続する
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したがって、養親・実父母の双方の相続人となる
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特別養子
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原則として、実父母との親子関係は終了する
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実父母の相続人とはならない
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養親のみの相続人となる
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この点は、相続関係の整理や相続人調査の場面で、実務上非常に重要です。
③ 婚外子(非嫡出子)の相続分について【法改正・判例反映】
かつて民法では、嫡出子と婚外子(非嫡出子)との相続分に差が設けられていましたが、この点については、すでに解消されています。
平成25年(2013年)9月4日、最高裁大法廷は、
婚外子の相続分を嫡出子の2分の1とする民法規定は、憲法14条に違反し無効
と判断しました。
この最高裁判決を受け、現在は嫡出子と婚外子との間で、相続分に差はありません。
そのため、法制度上は「相続分の差」に関する問題は解消されたといえます。
④ 実務上の注意点(相続問題はなくならない)
もっとも、相続分の差がなくなったからといって、相続問題が生じなくなったわけではありません。
実際の相続実務では、
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被相続人への貢献を考慮する寄与分
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生前に受けた贈与等を調整する特別受益
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遺言内容と法定相続分との関係
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感情的対立や認識のズレ
などが問題となるケースは非常に多くあります。
したがって、養子・実子・婚外子の別なく、相続関係を整理するには、遺言書の作成や専門家による事前対策が重要となります。
※ 本記事は、最高裁判決および現行民法の内容を前提として作成しています。
(参考:婚外子の相続差別に関する最高裁違憲決定)
