公正証書遺言の有無の確認方法と、特別受益への遺言による対応
■ 公正証書遺言の「見えにくさ」という実務上の問題点
公正証書遺言は、方式面・安全性の点で非常に優れた遺言ですが、
遺言書の内容に直接関係しない相続人が、遺言の存在自体を知らないまま相続手続が進んでしまう
という問題点があります。
公正証書遺言は家庭裁判所の検認が不要であるため、
存在が把握されないまま遺産分割協議が行われてしまうと、
後から遺言が判明し、協議をやり直す事態にもなりかねません。
■ 公正証書遺言があるかもしれない場合の確認方法
「公正証書遺言を作成していたかもしれない」と思われる場合には、
全国どこの公証役場からでも照会することが可能です。
照会にあたっては、次の書類が必要になります。
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遺言者が死亡したことを証明する書類
(戸籍除票、除籍謄本など) -
遺言者との身分関係を証明する書類
(戸籍謄本など)
これらを提出して最寄りの公証役場に照会すると、
公正証書遺言の有無および保管されている公証役場を確認することができます。
(北海道で作成された遺言であっても、沖縄の公証役場から照会可能です)
なお、遺言書の写し(謄本)を入手するためには、保管先の公証役場で謄本交付請求を行う必要があります。
■ 実務上よくあるもう一つの相談:特別受益の問題
相談実務の中で、意外に多く出てくるのが
「生前に特定の相続人が援助を受けている場合、相続ではどう扱われるのか」
という問題です。
たとえば、被相続人から生前に
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マイホーム購入資金
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結婚資金
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開業資金
などの援助を受けていた場合、
その相続人は**「特別の利益」を受けた者=特別受益者**に該当する可能性があります
(民法第903条)。
■ 特別受益と「持戻し」の考え方(法的根拠)
特別受益がある場合、
その贈与は「遺産の前渡し」として評価され、
**相続開始時に、その贈与額を相続財産に加算(持戻し)**したうえで、
各相続人の相続分を計算するのが原則です。
これを**「特別受益の持戻し」**といいます(民法第903条第1項)。
■ 遺言による対策:「特別受益の持戻し免除」
もっとも、
「生前の贈与は考慮せず、相続では平等に扱いたい」
あるいは
「援助した分とは別に、遺産はそのまま分けたい」
このような意思を実現するための方法として、
**遺言書による『特別受益の持戻し免除』**があります。
被相続人が遺言で
「生前に行った贈与について、特別受益の持戻しを免除する」
と意思表示をしておけば、
相続時の遺産分割において、生前贈与を考慮しない取り扱いが可能となります
(民法第903条第3項)。
■ 遺留分との関係に注意
もっとも、
特別受益の持戻し免除を行っても、遺留分を侵害することはできません。
遺留分を侵害している場合には、
遺留分侵害額請求(民法第1046条以下)の対象となり、
結果として金銭の支払いが必要になる可能性があります。
そのため、
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生前贈与の額
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相続財産の総額
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各相続人の遺留分
を踏まえたうえで、
全体設計を行った遺言書の作成が不可欠です。
■ まとめ
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公正証書遺言は、安全性が高い一方で「存在が知られにくい」
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相続開始後は、公証役場への照会により有無を必ず確認する
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生前贈与がある場合は、特別受益・持戻しの問題が生じる
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遺言によって持戻し免除は可能だが、遺留分への配慮が必須
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