4 贈与について

1) 贈与について

1. 贈与の基本

贈与とは、財産の所有者が特定の者に対して生前に財産を無償で譲渡する契約であり(民法第549条)、贈与者と受贈者の双方の承諾が必要です(民法第550条)。

贈与には税務上の注意点もあります。現行の贈与税法では、年間110万円までは非課税です(贈与税法第9条)。さらに、贈与者が一定の条件を満たす場合、「相続時精算課税制度」(贈与税法第41条~第49条)を選択することで、最大2,500万円(直系尊属からの住宅取得等贈与の場合は3,500万円)まで非課税で贈与可能ですが、贈与税の申告が必要です(贈与税法第50条)。


2. 配偶者への贈与

婚姻期間が20年以上の配偶者から居住用不動産またはその購入資金の贈与を受けた場合、贈与財産の2,000万円まで控除されます(相続税法第54条の2)。この特例は、自宅の取得や居住目的に限られ、居住後に贈与者以外の者に譲渡した場合は適用外となりますので注意が必要です。


3. 負担付遺贈

「家をあげるから子供の面倒をみてほしい」というように、遺贈を受ける者に義務を課す場合を負担付遺贈といいます(民法第650条)。

  • 受遺者が負担を履行しない場合、相続人は履行を請求できます(民法第651条)。

  • それでも履行されない場合は、家庭裁判所に遺贈の取消しを請求することができます(民法第652条)。

実務上は、負担の内容や履行期限を明確にしておくことが重要です。


4. 死因贈与

死因贈与とは、生前に「私が死亡したらこの財産をあげる」という契約であり、死亡によって効力が生じる点で通常の贈与と異なります(民法第552条)。

  • 死因贈与においては、遺贈に関する規定が準用されます(民法第554条)。

  • 受贈者の権利保護や債権者保護の観点から、書面による契約や公正証書での作成が推奨されます。


2) 受遺者の担保請求権

受遺者(遺贈を受ける者)は、次の場合に遺贈義務者に対して担保の提供を請求することができます(民法第464条、民法第558条準用)。

  1. 遺贈の弁済期が未到来の場合

  2. 停止条件付遺贈において、条件の成否が未定の場合

担保の方法としては、保証人の設定、質権・抵当権の設定など相当な担保を求めることができます。

さらに、遺贈の目的物が特定不動産である場合は、以下も可能です:

  • 遺贈対象不動産に対する質権・抵当権の設定

  • 始期付所有権移転請求権保全のための仮登記の申請

これにより、遺贈履行が確実になるとともに、受遺者の権利が法的に保護されます。