遺言書に遺言執行者の選任が必要?

遺言執行者とは

遺言執行者とは、
遺言者の死亡後、遺言の内容を実現するために必要な手続や行為を行う者をいいます(民法1006条)。

遺言執行者は、相続人の代理人という立場ではなく、
遺言の実現という目的のために、法律上独立した地位を有する存在です。


遺言執行者の主な業務内容

遺言執行者の業務は、遺言の内容に応じて広範に及びますが、代表的なものとしては次のとおりです。

① 相続財産目録の作成と交付

遺言執行者は、
相続財産目録を作成し、相続人全員に交付する義務があります(民法1011条)。

② 相続財産の管理・処分

遺言執行者は、
遺言の内容を実現するために必要な範囲で、
相続財産の管理および処分を行う権限を有します(民法1012条)。

③ その他、遺言の実現に必要な一切の行為

一見すると曖昧に見える項目ですが、
実務上は非常に重要な意味を持ちます。

たとえば、遺言書に記載があれば、

  • 子の認知

  • 推定相続人の廃除、または廃除の取消し

といった身分行為に関する届出や手続についても、
遺言執行者が行うことになります(民法781条、893条ほか)。


遺言執行者の指定と選任

遺言による指定が原則です

遺言書の中で、遺言執行者を指定することができます(民法1006条)。

もし、遺言書に遺言執行者の指定がない場合や、
指定された者が就任を拒否した場合などには、
家庭裁判所が利害関係人の申立てにより遺言執行者を選任します。

第三者の指定が望ましいケース

遺言執行者は、
相続人と利害関係のない第三者を指定しておくことが、実務上は望ましいとされています。

特に、

  • 相続人間に対立が予想される場合

  • 遺留分や廃除など、感情的な対立が生じやすい内容を含む場合

には、専門家などの第三者を指定することで、手続を円滑に進めることができます。

もちろん、相続人の一人を遺言執行者に指定することも法律上は可能です。


遺言執行者の権限を明確にする記載方法

遺言書の中で遺言執行者を定める場合には、
業務内容をできるだけ具体的に記載しておくことが重要です。

たとえば、

  • 預貯金の名義変更

  • 払戻し

  • 解約

  • 証券口座の移管・換金

など、金融機関での手続を想定した具体的な記載をしておくと、
遺言執行者による手続がスムーズに進みやすくなります。

特に金融機関は、
遺言書の文言を厳格に確認する傾向があるため、
権限が明確に読み取れる表現を用いることが実務上重要です。


実務上のまとめ

遺言執行者を定めておくことで、

  • 相続手続の円滑化

  • 相続人間のトラブル防止

  • 遺言内容の確実な実現

といった効果が期待できます。

遺言内容が複雑な場合や、
相続人間に紛争の可能性がある場合には、
遺言執行者の指定は、事実上「必須」といえるケースも少なくありません

遺言作成にあたっては、
遺言執行者の選定と権限の記載についても、専門家に相談することをお勧めします。

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