独身の姉(87歳)が亡くなりました私が姉の相続人です。姉の財産の所在がわからない

相続財産調査の実務 ― 不動産・預貯金・債務の確認方法と注意点

相続手続を進めるにあたり、まず必要となるのが相続財産の全体像の把握です。
相続財産には、不動産や預貯金といった積極財産だけでなく、借入金等の債務(消極財産)も含まれます。


■ 不動産の調査方法(名寄帳の活用)

不動産については、被相続人(本件ではお姉様)がお住まいであった市区町村役場において「名寄帳(固定資産課税台帳)」を請求することで確認できます。

名寄帳を取得すると、

  • 当該市区町村内に所在する

  • 被相続人名義の土地・建物

を一覧で把握することが可能です。

ただし注意点として、

  • 名寄帳で確認できるのは、当該市区町村内の不動産のみ

  • 他の市区町村に不動産を所有している場合は反映されません

という限界があります。

そのため、居住地以外に不動産を所有している可能性がある場合は、

  • 固定資産税の納税通知書

  • 不動産の権利証(登記識別情報)

  • 過去の売買契約書等

といった資料がないと、調査は極めて困難となります。


■ 預貯金の調査方法と実務上の限界

預貯金については、原則として

  • 遺品から通帳・キャッシュカード

  • 金融機関からの郵便物

を探し出す方法が基本となります。

これらが見つからない場合には、

  • 被相続人の住所地周辺にある金融機関

  • 過去の勤務先・年金振込先と推測される金融機関

などに対し、相続人であることを証明したうえで、個別に照会を行うほかありません。

なお、金融機関には「全国一括照会制度」は存在せず、
すべての金融機関に網羅的な調査を行うことは、実務上も大きな負担となります。


■ 名寄帳・金融機関照会に必要な書類

不動産・預貯金いずれの調査においても、

  • 被相続人が死亡したことが分かる戸籍(除籍謄本)

  • 相続人との関係が分かる戸籍(兄弟姉妹関係が確認できるもの)

が必要となります。

これらは、相続人であることを第三者(市区町村・金融機関)に証明するための必須書類です。


■ 相続財産調査は想像以上に時間と手間がかかる

相続財産の調査は、

  • 不動産

  • 預貯金

だけでも相当な時間と労力を要します。

これに加えて、

  • 有価証券

  • 保険

  • 貸付金

  • 未収金

などが存在する場合、調査はさらに煩雑になります。


■ 見落とされがちな「債務」の確認

実務上、最も注意すべき点が債務(借金)の存在です。

高齢であったことから、

「特に借金はないだろう」

と考えがちですが、

  • 金融機関からの借入

  • クレジットカードの未払金

  • 保証債務

などは、すべて相続の対象となります(民法第896条)。

債務が判明した場合には、

  • 単純承認

  • 限定承認

  • 相続放棄

といった選択を、相続開始を知った日から3か月以内に行う必要があります。


■ 専門家による相続財産調査の重要性

相続財産の調査は、

  • 時間的制約

  • 法的判断

  • 書類収集の煩雑さ

を伴うため、専門家の関与が有効となる場面が少なくありません。

当事務所では、

  • 相続財産の所在調査

  • 不動産・預貯金の確認

  • 債務の有無の調査

  • 相続放棄・限定承認の判断支援

まで、相続手続を総合的にサポートしております。


■ まとめ

  • 不動産は名寄帳で確認できるが、地域限定である

  • 預貯金調査には実務上の限界がある

  • 相続財産には債務も含まれる

  • 調査には相応の時間と労力が必要

  • 早期に専門家へ相談することでリスク回避が可能

相続財産調査は、その後の遺産分割・相続放棄の判断を左右する極めて重要な初動手続です。
慎重かつ確実に進めることをお勧めします。