公正証書遺言の書き直しについて

遺言書は何度でも書き直せます

― 自筆証書遺言・公正証書遺言の変更と費用の考え方 ―

自筆証書遺言であっても、公正証書遺言であっても、
遺言書は何度でも書き直すことが可能です。

民法上、遺言は「最終の意思」が効力を持つとされており
(民法1023条)、
新しい遺言書を作成すれば、原則として以前の遺言内容は撤回されます。


公正証書遺言の「書き直し」は高額なのか?

特に不安を感じやすいのが、
公正証書遺言を作り直す場合の費用ではないでしょうか。

自筆証書遺言であれば、
紙とペンがあれば作成でき、費用はほぼかかりません
(※現在は法務局の保管制度利用時に手数料あり)。

一方、公正証書遺言は、


  • 公証役場で作成する



  • 財産額に応じて手数料が決まる


という性質上、
初回作成時には概ね5万円~20万円程度の費用がかかるのが一般的です。


書き直し=同額の費用、ではありません

ここでよくある誤解があります。

公正証書遺言を変更する場合、
また同じ金額の手数料が必要になるのでは?

必ずしもそうではありません。

公証人手数料は、
「遺言全体の内容」「目的の価額」「変更の範囲」
によって計算されます。

例えば、


  • 長男に500万円相続させる
     ↓



  • 次男に500万円相続させる


といったように、
金額や財産自体は変えず、相続人のみを変更する場合には、


  • 文言修正のみで足りるケースが多く



  • 手数料は1万~2万円前後に収まることも珍しくありません


(※証人を公証役場に依頼する場合は、別途費用がかかります)。

なお、証人は法律上の欠格事由に該当しなければ
知人・友人でも問題ありません


内容が大きく変わる場合は別扱い

ただし、


  • 相続財産の内容が大幅に変わった



  • 不動産の追加・削除がある



  • 遺贈や条件付き遺言を新設する


などの場合は、
実質的に新規作成と同程度の手数料がかかることもあります。

事前に公証役場で見積りを確認することが重要です。


余談:祭祀主宰者の指定と手数料

遺言書を作成する際、
見落とされがちですが重要なのが、

祭祀主宰者の指定

です。

これは、


  • お墓



  • 仏壇



  • 位牌



  • 祭祀財産


を承継・管理する人を指定するものであり、
相続や遺贈とは別個の法律行為とされています
(民法897条)。

祭祀財産には経済的価値の算定ができないため、


  • 公証人手数料は一律



  • 11,000円(現行)


が加算されます。

近年は、
「誰がお墓を守るのか」を巡るトラブルを防ぐため、
あえてこの指定を入れるケースが増えています。


まとめ


  • 遺言書は何度でも作り直せる



  • 効力を持つのは常に「最後の遺言」



  • 公正証書遺言の変更=高額とは限らない



  • 変更内容によって費用は大きく異なる



  • 祭祀主宰者の指定は相続とは別枠で考える


公正証書遺言の修正を検討している場合は、
「費用がかかるから」と先送りにするより、
一度公証役場へ相談する方が、結果的に合理的
です。

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