遺言による寄付(遺贈)について
自分の死後に、自治体や公益法人、NPO法人などの団体へ財産を寄付することは、法律上「遺贈」に該当します(民法964条)。
遺贈を確実に実現するためには、遺言書の中に、寄付先となる団体を特定し、どの財産を遺贈するのかを明確に記載する必要があります。
単に「財産を寄付する」といった抽象的な表現では、遺言の解釈を巡ってトラブルになるおそれがあるため注意が必要です。
遺贈受入れの事前確認が重要です
遺言書を作成する前に、寄付先となる団体が遺贈を受け入れてくれるかどうかを必ず事前に確認しておくことが重要です。
特に注意すべき点として、
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不動産
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株式
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自動車
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換金が必要な動産
など、現金以外の財産については、受入れを行っていない団体も少なくありません。
そのため、どの財産が遺贈可能か、処分方法はどうなるのかについて、あらかじめ確認しておく必要があります。
寄付先が存在しない場合への備え
遺言作成時には存在していた団体であっても、相続開始時(死亡時)に解散・統合・廃止されている可能性があります。
このような場合に備えて、
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代替の寄付先を指定しておく
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寄付ができない場合は、特定の相続人に承継させる
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寄付できない場合は、法定相続人に相続させる
など、予備的な定め(予備的遺贈)を遺言書に記載しておくことが実務上は非常に重要です。
遺留分との関係(民法改正後の取扱い)
たとえ寄付(遺贈)であっても、相続人には遺留分が保障されています(民法1042条以下)。
遺留分権利者から遺留分侵害額請求(※旧「遺留分減殺請求」)がなされた場合には、
その請求額に相当する金銭を、遺贈を受けた団体等が支払う必要が生じる可能性があります。
この点を考慮せずに多額の寄付を定めると、
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寄付先が想定外の金銭負担を負う
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遺言内容の実現が困難になる
といった事態が生じるおそれがあります。
遺言執行者の指定は必須といえます
寄付を内容とする遺言を確実に実行するためには、遺言執行者を指定しておくことが強く推奨されます(民法1006条)。
遺言執行者を定めることで、
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財産の引渡し
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名義変更
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団体との調整
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遺留分対応
などを、相続人に代わって円滑に進めることが可能になります。
あわせて、遺言執行者の報酬や費用負担についても遺言書に明記しておくことで、相続開始後のトラブル防止につながります。
まとめ
「自分の財産はすべて寄付したい」と考えること自体は、法律上まったく問題ありません。
しかし、その意思を確実に実現するためには、法的な検討と事前準備が不可欠です。
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