原野商法と相続登記

相続で見つかる「北海道の土地」「那須の土地」

― 原野商法の不動産をどう扱うか ―

相続が開始し、故人名義の不動産を確認していくと、
自宅や収益物件とは別に、

  • 北海道の土地

  • 那須高原周辺の土地

といった、遠方の不動産が見つかることがあります。

これまでも年に数件は見かけていましたが、
今年に入ってから、やや増えてきた印象があります。

相続人の反応は、ほぼ二択

相続人の方の反応は、大きく分けると次の二つです。

「えっ……北海道に土地を持っていたんですか?」

という“全く知らなかった”ケース。

あるいは、

「これ、価値ありますか?」
「売ったら、いくらになりますか?」

と、淡い期待を抱かれるケースです。

調べてみると、辺り一面「原野」

地番を手がかりに、

  • 公図

  • 測量図

  • 登記情報

  • インターネット上の航空写真

などを確認すると、
多くの場合、辺り一面が原野です。

地図上には道路もなく、
実際には現地に近づくことすら困難な場所も少なくありません。

そして、ほとんどすべてのケースで、

  • 固定資産税評価額は「非課税」または極めて低額

  • 登録免許税も、評価額がないため1筆1,000円

という状態です。

「登記しないで、放っておきます」という選択

相続人の中には、

「どうせ価値がないなら、登記しないで放置します」

とおっしゃる方もいます。

しかし、他の不動産と一緒に相続登記を進める中で、
事務所としては次のようにお伝えしています。

「権利関係が将来さらに複雑になりますので、
できれば今のうちに登記しておかれた方が無難です」

特に、**相続登記が義務化された現在(令和6年4月施行)**では、
「価値がないから放置」という判断は、
将来的なリスクを先送りすることにもなりかねません。

最大の問題は「誰が相続するのか」

実務上、最大の問題はここです。

「……で、誰がこの土地を引き取るんですか?」

不動産は本来、大切な財産です。
しかし、原野商法で購入された土地だけは、誰も欲しがらない
――これが現実です。

多くの場合、

  • 長男が実家を相続する

  • 他の不動産も取得する

という流れの中で、

「では、この土地も一緒に……(抱き合わせで)」

という形で話がまとまります。

「売れますか?」と聞かれたら

結論から言えば、

「売れません」

です。

「外国籍の方ならどうですか?」
と冗談交じりに聞かれることもありますが、

日本では原則として外国人も不動産を取得できます。
しかしそれでも、

「できれば日本国籍の方に買ってほしいですね」

と、人情としてお答えしています。

もっとも、
実際に買い手が現れることは、ほぼありません。

結果として、その土地は
子へ、孫へと、相続によって受け継がれていくことになります。

測量図がある=安心、ではない

改めて強調しておきたいのは、ここです。

測量図があり、区画が整理されているから安心
――ではありません。

多くの原野商法土地は、

  • 原野の中に

  • 「測量された一区画」が存在する

だけです。

航空写真で見ると、
見渡す限り緑一色というケースがほとんどです。

現地を見ないまま、
測量図とパンフレットだけで土地を購入していた時代があった――
そのことを、相続の現場で改めて実感させられます。

士業として伝えたいこと

原野商法の土地は、

  • 価値がない

  • 使い道がない

  • 売れない

という三重苦を抱えがちですが、
**法的には「れっきとした不動産」**です。

相続が発生した以上、

  • 誰が相続するのか

  • 登記をどうするのか

  • 将来どう整理するのか

を、一度は正面から考える必要があります。

「価値がないから後回し」
が、将来の相続人にとって
最も厄介な負担になることも少なくありません。

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