「死亡保険金の請求はどのように行えばよいのでしょうか?」
相続手続きにおいて、死亡保険金の請求は比較的早期に行える重要な手続きの一つです。以下、実務の流れに沿って説明します。
1 保険契約の有無の確認
まず行うべきは、被相続人(故人)が被保険者となっている生命保険契約の有無の確認です。
通常は、
・生命保険証券
・保険会社からの通知書
・保険料控除証明書
などを確認しますが、証券等が見当たらない場合でも、通帳の保険料引落履歴やクレジットカード明細から契約の存在が判明することがあります。
また、死亡保険だけでなく、医療保険・がん保険・災害保険等に付随する死亡給付金や未請求給付金が存在する場合もあるため、併せて確認が必要です。
2 保険会社への連絡
保険会社が特定できたら、契約者番号(不明でも可)・被保険者氏名・死亡日等を伝え、
「死亡保険金支払請求書」
その他必要書類の送付を依頼します。
近年は、電話連絡に加え、Web申請やマイページ経由での手続きを案内されるケースも増えています。
3 一般的な必要書類
必要書類は保険会社・契約内容により異なりますが、一般的には次の書類が求められます。
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保険会社所定の死亡保険金支払請求書
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保険証券(電子証券の場合は不要なこともあります)
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医師作成の死亡診断書(または死体検案書)の写し
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被保険者の戸籍(除籍)謄本
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保険金受取人の戸籍謄本
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保険金受取人の本人確認書類
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印鑑証明書(実印を用いる場合)
※近年は、認印・署名・マイナンバーカードによる本人確認で足りる場合もあり、必ず保険会社の指示に従ってください。
4 死亡保険金と相続との関係(重要)
(1)死亡保険金は原則として「相続財産ではない」
生命保険契約において受取人が指定されている場合、死亡保険金は
民法上の相続財産ではなく、受取人固有の財産
とされます(最判昭和40年2月2日)。
そのため、
・遺産分割協議の対象外
・原則として相続放棄をしていても受け取れる
という点が重要です。
(2)受取人未指定の場合の注意点
死亡保険金の受取人が「指定されていない」又は「被保険者本人」とされている場合は、
相続人が受け取ることになりますが、必ずしも法定相続分どおりとは限りません。
この場合の取り扱いは、契約約款の定めが優先されるため、専門的な確認が必要です。
5 相続税との関係(法改正反映)
死亡保険金は相続税法上、
「みなし相続財産」(相続税法第3条)
として課税対象となりますが、
法定相続人1人につき500万円の非課税枠が設けられています。
この非課税枠の適用可否や計算には、
・相続放棄者の扱い
・受取人と相続人の関係
など、実務上の注意点が多いため、税務判断が必要なケースも少なくありません。
6 団体信用生命保険(団信)に加入している場合
住宅ローンを利用している場合、多くは**団体信用生命保険(団信)**に加入しています。
被保険者が死亡すると、
・住宅ローン残債が保険金で完済
・金融機関の抵当権が抹消される
ことになります。
この場合、金融機関へ速やかに死亡の連絡を行い、抵当権抹消登記の手続きを進める必要があります。
7 保険金請求の時効に注意
生命保険金は、請求しなければ支払われません。
また、保険法第95条により、
死亡保険金請求権の消滅時効は「3年」
と定められています(※2010年保険法施行により、旧商法の2年から延長)。
請求漏れ・放置による時効完成を防ぐためにも、相続発生後は早期に保険契約の確認を行うことが極めて重要です。
まとめ
死亡保険金は
・相続手続きの中でも比較的早期に受領でき
・相続財産とは異なる法的性質を持ち
・税務・登記・金融実務と密接に関係する
極めて重要な手続きです。
