自筆証書遺言の検認証明書を外す銀行員
― 相続実務における「あり得ない対応」―
相続財産である預貯金の解約手続きを行う際、金融機関の対応には一定のばらつきがあるのは事実です。
(失礼ながら)担当者の経験や理解度には差があり、上司に確認しながら進めていただけるのであれば、こちらとしても特段の問題は感じません。
ところが、先日、**「検認済みの自筆証書遺言」**の取扱いについて、看過できない事態が発生しました。
検認済み自筆証書遺言の「最重要ポイント」
家庭裁判所で検認を受けた自筆証書遺言は、
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遺言書原本
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検認調書
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遺言書と検認調書を一体化した状態(ホッチキス留め)
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その綴じ目に施された契印(割印)
この一体性こそが、検認済みであることを担保する極めて重要な要素です。
そのため、
ホッチキスを外してコピーを取る行為自体が、原則としてあり得ません。
これは、新人の銀行員の方であっても、研修中の方であっても、またベテランの方であっても、これまで経験上、一度も行われたことのない対応でした。
外資系銀行で起きた出来事
ところが先日、外資系銀行において、
検認済み自筆証書遺言のホッチキスを、担当者が無断で外すという事態が発生しました。
さらに問題だったのは、その後です。
再度ホッチキスで留め直した際、
契印(割印)が完全にずれた状態で綴じられてしまったのです。
担当者は外国人ではありません。
名前からも日本人と判断できますし、日本語もごく自然でした。
こちらが指摘すると、
「外して、また留め直せばよい」
という認識だったようにも受け取れます。
しかし、扱いは極めて乱暴で、思わず声を上げて制止せざるを得ませんでした。
契約実務の「プロ」であるはずの立場
対応したのは、半個室のブースの上座に座る、
肩書き上は「バンカー」とされる方です。
契約書類・重要書類を扱うプロフェッショナルであるはずの立場で、
このような対応が行われたことは、非常に残念と言わざるを得ません。
実際、コピーされた書面を見ると、
契印が途中で切れた状態のコピーとなっており、
「契印を含めて一体としてコピーする」という基本的な意識が欠けていたことは明らかでした。
現在の対応と所感
上司の所在を確認すると「夏期休暇中」との回答でした。
一事が万事とは言いたくありません。
しかしながら、相続実務においては、
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日本の法制度
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家庭裁判所の実務
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検認制度の趣旨
を前提とした対応が不可欠です。
そうした意味では、
やはり日本の金融機関の方が、相続実務は進めやすい
という印象を持たざるを得ません。
注意喚起
相続手続きにおいて、
検認済み自筆証書遺言は「触り方」そのものが重要書類管理の一部です。
金融機関任せにせず、
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ホッチキスを外させない
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コピー方法をその場で確認する
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不安があれば上席対応を求める
といった点は、相続人・代理人いずれにとっても重要な自己防衛策といえるでしょう。
