質問
配偶者が、生前お世話になった被相続人の兄にも財産を渡しました。
その後、その兄に税務署から税金の支払いを求める通知が届きました。
配偶者は「相続税は支払った」と言っています。
どのような原因が考えられるでしょうか。
考えられる4つを推測します
税務の観点から見ると、配偶者が相続税を支払っていても、兄に別途納税義務が生じるケースは十分に考えられます。
主な原因として、次の4つが推測されます。
① 贈与税が発生している可能性(最も多いケース)
もし配偶者がいったん全財産を相続し、その後に
「お世話になったから」という理由で自分の財産を兄に渡した場合、
税務上は 相続ではなく「贈与」 と判断されます。
▸ ポイント
- 相続税:亡くなった方から直接取得した財産に課税
- 贈与税:生きている人から受け取った財産に課税
この場合、
配偶者が相続税を支払っていても、兄には贈与税の申告・納税義務が発生します。
贈与税は
- 基礎控除が年間110万円と低い
- 税率が相続税より高くなりやすい
という特徴があるため、税務署から通知が来るケースが少なくありません。
② 兄自身の相続税の申告漏れ
兄が遺言(遺贈)や遺産分割協議により、被相続人から直接財産を取得していた場合です。
相続税は、
「各取得者がそれぞれ自分の取得分について申告・納税する」仕組みです。
配偶者が支払ったのは、あくまで配偶者自身の相続税であり、
兄の税金まで自動的に精算されるわけではありません。
この場合、兄の申告漏れが原因で通知が来た可能性があります。
③ 相続税の「2割加算」の対象になっている
相続税には、配偶者や子(一親等)以外が財産を取得した場合、
税額が2割加算されるという制度があります。
兄弟姉妹はこの2割加算の対象です。
そのため、
- 計算時に2割加算を見落としていた
- 税額不足が発生していた
といった場合、後から税務署から指摘を受けることがあります。
④ 代償分割の処理が適切でなかった
遺産分割の際に、
- 配偶者が不動産を取得し
- その代わりに兄へ現金を支払う
という「代償分割」を行うケースがあります。
しかし、これが遺産分割協議書に明確に記載されていないと、
税務署からは
「配偶者から兄への単なる贈与」
と判断されることがあります。
その結果、兄に贈与税が課される可能性があります。
まず確認すべきこと
最優先で確認すべきなのは、
兄に届いた通知が
- 相続税なのか
- 贈与税なのか
という点です。
▸ 贈与税の場合
財産の渡し方が「相続」ではなく「個人間の贈与」と判断された可能性があります。
▸ 相続税の場合
- 兄の申告漏れ
- 2割加算の未計算
などが原因の可能性があります。
実務上の対応
- 遺産分割協議書
- 相続税申告書の控え
- 兄が受け取った通知書
これらを揃えたうえで、税理士へ相談することを強くおすすめします。
※本記事は一般的な解説です。
個別案件の税務判断や代理行為はできません。最終的な判断は必ず税理士または税務署へご確認ください。
