相続税改正について(平成26年当時の記事)
※本記事は、平成26年(2014年)に作成されたものです。
現在の制度とは異なる部分もありますが、当時の記録・問題意識としてそのまま掲載しています。
相続税の改正が、翌年1月1日施行と迫ってきました。
詳細については、国税庁のホームページ等をご参照いただきたいところですが、
「そのうちに……」と思っている間に、気がつけば残り9か月ほどとなっています。
まだ先の話、と感じられる方も多いかもしれませんが、
相続に関わる業務を行う立場としては、非常に気になる改正です。
簡単に言えば、
相続税の申告が必要となる方が、大幅に増えるという内容だからです。
これまで相続税とは無縁と思われていた方であっても、
今回の改正によって、
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相続税がかかるかどうか微妙なケース
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申告の要否を一度は計算してみる必要があるケース
が、確実に増えることになります。
ところが、この「相続税の計算」は、
日常的に触れていない方にとっては、非常に分かりにくく、複雑なものです。
相続税申告を「得意」とする専門家は多くありません
個人的に以前から懸念しているのは、
相続税申告を本当に得意としている税理士が、実はそれほど多くないという点です。
過去に相続税に関するセミナーへ参加した際、
地元の大手税理士事務所であっても、
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毎月相続税申告を行っているわけではない
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実務経験のあるスタッフが限られている
といった話を聞いたことがあります。
また、8年ほど前の話になりますが、
相続税業務をある税理士に依頼しようとしたところ、
「経験がない」という理由で断られたこともありました。
世間の関心は、決して高くないように感じます
それにもかかわらず、
世間一般では、相続税改正がそれほど話題になっていないように感じます。
おそらく、
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相続税は「お金持ちの話」で自分には関係ない
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相続の話自体が縁起が悪く、話題にしづらい
といった理由から、
日常会話やメディアで取り上げられる機会が少ないのかもしれません。
また、当時は消費税3%導入時の議論などが大きく取り上げられ、
「高齢者を苦しめるのか」といった声がテレビで繰り返されていました。
それを見るたびに、
相続税の問題は、話題になる以前の段階で止まっているのではないか
と感じてしまうこともありました。
高齢者の平均財産額と不動産評価の現実
しかしながら、
高齢者の平均的な保有財産は、およそ6,000万円程度とも言われています。
もちろん、
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実際には、資産を多く持つ方と、そうでない方の差は大きい
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現金ではなく、不動産として保有しているケースも多い
といった事情はあります。
特に、都市部の不動産評価額を考えると、
相続税は決して一部の富裕層だけの問題とは言い切れません。
「もっと大きな社会的な問題として議論されてもよいのではないか」
当時は、そのような思いを強く抱いていました。
(補足・現在から読まれる方へ)
本記事は、平成27年の相続税改正(基礎控除引下げ)を前にした
当時の実務者としての率直な問題意識を記録したものです。
現在では制度・運用ともに状況は変化していますが、
「相続税は突然現実になる」「準備不足のまま直面する人が多い」
という本質的な問題は、今なお変わっていないと感じています。
また、公正証書遺言の作成をサポートする立場から、相続税を意識した遺言書は改正で無駄になった・・・と思うところです。
