相続手続きをご自身で行いたい方へのサポートについて
― 相続登記義務化(令和6年施行)との関係も含めて ―
相続手続きをご自身で行いたい……
そうお考えになる方が、近年増えているように思います。
確かに、相続手続きは煩雑で手間もかかりますが、定年退職後などで時間に余裕のある方にとっては、「一つの課題」として前向きに取り組まれる方も少なくありません。
中には、「勉強になるから自分でやってみたい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
そこで当事務所では、相続手続きをご自身で進めたい方を部分的にサポートするサービスを始めました。
正直なところ、業務としては、すべて当事務所にお任せいただいた方がスムーズに進むケースがほとんどです。
しかし、もし自分が相続人の立場であれば、「できるところまでは自分でやってみたい」と思う気持ちも、よく理解できます。
また、これまで法務関係のお仕事に携わっていた方や、法務局・市区町村で戸籍実務を経験されていた方にとっては、相続手続きを自分で行うこと自体が「当然」と感じられる場合もあるでしょう。
途中で止まってしまう相続手続きも少なくありません
もっとも、実際には、
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戸籍の収集に思った以上に時間がかかる
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相続関係が複雑で書類が揃わない
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相続登記の方法が分からず手が止まる
といった理由で、途中まで進めたものの、そのまま止まってしまうケースも少なくありません。
特に最近は、**相続登記の義務化(令和6年4月施行)**の影響もあり、「とりあえず何か登記をしなければならない」と考える方が増えています。
「相続登記には期限がない」という誤解にご注意ください
これまで相続登記は、「期限がないから後回しにしてもよい」と説明されることが多くありました。
そのため、
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相続登記そのものが急がなくてよい
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印鑑証明書が不要な相続登記がある=簡単で自由にできる
と誤解されている方もいらっしゃいます。
しかし、令和6年4月1日から相続登記は法律上の義務となり、
相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に、原則として登記申請をしなければなりません。
この義務は、
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遺産分割がまだ終わっていない場合
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相続人間で話し合いが続いている場合
であっても、無関係ではありません。
遺産分割が未了の場合の登記方法(法定相続分登記)
遺産分割協議がまとまっていない場合でも、
法定相続分による相続登記を行うことは可能です。
この方法では、
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各相続人が法定相続分どおりに持分を取得する形で登記
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遺産分割協議書は不要
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相続人全員の印鑑証明書も不要
となります。
そのため、「印鑑証明書が集まらない」「話し合いが長引いている」といった場合でも、
相続登記義務を一旦果たす手段として有効です。
ただし、これは「最終的な解決」ではなく、
後日、遺産分割が成立した場合には、改めて登記をやり直す必要がある点には注意が必要です。
印鑑証明書が不要=自由に後回し、ではありません
「印鑑証明書が不要な相続登記がある」と聞くと、
「急がなくてもいい」「簡単だから後でまとめてやればいい」
と思われるかもしれません。
しかし、印鑑証明書が不要であることと、期限がないことは別問題です。
相続登記義務化により、
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どの方法であっても
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相続により不動産を取得した場合には
期限内に何らかの登記申請を行う必要がある点は共通しています。
